大判例

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青森地方裁判所 平成7年(行ウ)2号 判決

当事者

原告

竹谷茂男(X1)

三上初雄(X2)

被告

(五所川原市長) 佐々木榮造(Y)

右訴訟代理人弁護士

石田恒久

被告補助参加人

五所川原地区消防事務組合

右代表者管理者五所川原市長

佐々木榮造

右訴訟代理人弁護士

吉沢寛

事実及び理由

第四 争点に対する判断

一  消防組織法違反の点について

消防組織法は、国家機関としての消防庁(第二章)と自治体の消防機関(第三章)について規定しており、自治体の消防職員については、同法一二条二項で「消防職員の定数は条例で定める。」と規定し、消防本部に関しては、同法一三条で消防長について規定している以外には、消防本部職員の具体的職名について規定した条文はない。

このように消防組織法は、消防に関する基本的な事項を定めているのであり、消防組織法に定められていない消防組織についての具体的な事項については、各自治体がその実情に応じて条例等によってこれを定めることが予定されているものである。したがって、同法が特に消防本部に理事を置くことを禁止していない以上、同法に理事に関する規程が存在しないからといって、理事職の設置が同法に違反するものでないことは明らかである。

よって、理事職の新設が同法に違反するとする原告らの主張は採用できない。

二  職権濫用の点について

1  〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。すなわち、

(一)  組合においては、職員の定年が六〇歳と定められていたが(組合職員の定年等に関する条例三条)、消防長に対しては、慣行上、五八歳になると退職勧奨がなされ、消防長はこれに応じて五八歳に達した日以後における最初の三月三一日に退職するのが一般であった。右退職勧奨の慣行は、人事の活性化を図る等の目的で行われていたものであり、条例上定年が六〇歳と定められている以上、これを強制できるものではなかった。

(二)  山上は、昭和八月四月三日生まれで、消防長に就任後の平成三年四月三日で五八歳となり、組合から翌平成四年三月三一日で退職するように勧奨を受けたが、右勧奨にしたがって退職しなかった。組合は、消防長を山上から他の者に交替させるためには消防長の任を解かれた山上を消防長と同格の職務に就かせる必要があるものと考え、その手段として消防長と同格の理事職を新設し、新たに消防長に就任した阿部昭雄が消防長の任を解かれた山上を理事職に任命した。

(三)  山上は、平成六年三月三一日まで理事職を勤め、この間、理事として被告主張のとおり種々の職務を行い、同日定年により退職した。

(四)  山上の次の消防長である阿部昭雄は退職勧奨に応じて退職したため、山上が理事を退任して以降今日まで組合理事職に任命された者はいない。

以上のとおり認められる。

2  右事実からすると、理事職は消防長の任を解かれた山上のために設置された職であり、山上が理事職に就く前にはこのような理事職は存在せず、山上が理事職を退任した後に理事職についた者もいない。しかしながら、組合の消防長を含む五所川原市の管理職職員人事の活性化を図るという観点から右のような理事職を設けて山上をこれに任命することによって同人を消防長の職から退かせることもあながち不合理とはいえず、また、山上は理事として具体的な職務を行っていたと認められるのであって、理事の具体的な職務が何もないとする原告らの主張は採用できない。

したがって、被告が理事職を新設して消防長に対して山上への理事発令を命じた行為が、管理者としての職権を逸脱、濫用した違法なものとは認められない。

(裁判長裁判官 片野悟好 裁判官 中島肇 柴山智)

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